「すぐに忘れる…」を解消!社会人におすすめの効率的な学び方とは
「覚えたことをすぐに忘れてしまう」「忙しくて勉強する時間が取れない」—そんなお悩みを感じたことはありませんか?私たちの生活は日々のタスクで忙しく、あっという間に時間が過ぎてしまいます。限られた時間をやりくりして勉強したとしても、せっかく学んだ知識をすぐに忘れてしまったら本当に切ないですよね。
実は、覚えた知識や情報を“忘れにくくする学習法”があるのをご存じでしょうか?それには、認知心理学の理論に基づいた学習法があります。私はこの学習法を取り入れた資格学習システムの開発プロジェクトを担当しており、利用者のフィードバックを日々受け取るなかで、記憶としての定着を強めるという学習効果を実感しています。
この記事では、認知心理学や関連知識に基づく学習法や学習理論をわかりやすくお伝えし、あなたの学びがもっと楽しく、効果的になる方法をご紹介します。
本記事でわかること
・検索練習を継続することで、記憶する力/思い出す力を鍛えられる
・検索練習は時間や場所を選ばず隙間時間でも実施できる
・学んだ翌日、1週間後、1か月後のタイミングで復習すると記憶に定着しやすい
1.学んだことを忘れないために

▲通勤時間におすすめの勉強方法「検索練習」

あなたは学生時代、どのように試験勉強をしていましたか?私はというと、基本的に一夜漬け。中間テストで覚えたことを期末テストの時にはすっかり忘れてしまっている…そんなことがよくありました。知識を一度に詰め込んだだけでは、長く覚えておくのは難しいんです。
「そんなの知ってるよ!」と思った方もいるでしょう。「復習が重要なのは分かるけど、復習する時間がないんだよね…」と感じている方も多いはず。
そこで、忙しいビジネスパーソンに注目していただきたいのが、通勤時間です。この時間、何もせずに過ごすのはもったいないですよね。私が提案したいのは、朝の通勤時間に、5分間でよいので、前日に学んだ内容を振り返ることです。そしてこの時に大切なのが、「テキストやメモを見ずに、記憶だけを頼りに思い出す」こと。この工夫が、知識や情報を記憶として強く定着させるカギになります。
2.記憶力はトレーニングで鍛えられる
これは認知心理学の「検索練習」という理論に基づいています。検索練習とは、「記憶から情報を引き出す練習を繰り返すことで、記憶としての定着を強化する」という学習法で、いわば「思い出す練習」です。テキストを見ずにその内容を思い出そうとする行為が、記憶として定着させるのにとても効果的な刺激になるのです。
最初は記憶があやふやでうまく思い出せないこともあるでしょう。それは全く問題ありません。知識や情報を思い出そうとする回数を重ねるたびに、それらは少しずつ強く記憶として定着していきます。そして検索練習を続けることで、必要となる知識や情報を、それらが必要な場面で、定着した記憶としてスムーズに引き出せるようになるのです。
さらに、検索練習にはもう一つの効果があります。それは、自分がどこまで理解しているのかを明確にできることです。テキストを読んだ時には理解していた気がしたけれど、思い出すタイミングでよく分からなくなってしまった時こそ、記憶としての定着を強めるチャンスです。自分の理解が足りなかった部分はどこなのか、自分で気づいてからテキストやメモで確認することで、知識や情報がより深く記憶に定着します。
つまり、検索練習を継続することで、記憶する力と思い出す力が鍛えられて、向上する可能性があるのです。年齢を重ねて記憶力が落ちたと感じている方にとっても、嬉しいニュースではないでしょうか。
3.スケジューリングでさらに効果UP

▲忘却曲線「新しく覚えた知識や情報をどのように忘れていくか」
もちろん、検索練習だけで学習が完璧になるわけではありません。他の学習理論と組み合わせることで、さらに記憶としての定着を強高めることができます。
例えば、学んだ内容を定期的に復習することもとても大切です。「忘却曲線」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
忘却曲線は、「新しく覚えた知識や情報をどのように忘れていくか」を示した理論です。時間とともにどんどん忘れていく様子をグラフで表していて、次のような特徴があります。
1. 最初は急速に忘れる: 新しい知識や情報を学んだ直後は記憶がまだ定着していないため、忘れる速度が非常に速いです。
2. 時間が経つと忘れにくくなる: その後少しずつ忘れる速度が遅くなり、記憶が安定していきます。
簡単に言うと、「最初は忘れやすいけれど、こまめに復習することで忘れにくくなる」ということです。
この理論を活用すると、「復習のタイミングを調整する」という学習法を導くことができます。忘れにくくなるタイミングで復習することで、記憶としてしっかり定着していくのです。おすすめは、学んだ翌日、1週間後、1か月後のタイミングで復習することです。この復習間隔と検索練習を組み合わせて、「しかるべきタイミング」で「思い出す練習」をすると、記憶としての定着がさらに進みますよ。
4.最後に
検索練習の最大のメリットは、時間や場所を選ばずに取り組める点です。在宅でお勤めされている方や育児・介護中の方など、通勤がない方であれば、例えばお風呂に入っている時間や電子レンジで食事を温めている間など、ちょっとした隙間時間を活用するのもおすすめです。私自身もこの方法を実践しており、日々の学びに役立っています。
ぜひ試してみて、学びの楽しさや達成感を日常の中で実感していただけたら嬉しいです。
次回は、自宅で気軽に取り組める時短学習法についてお話しします。どうぞお楽しみに!
■この記事を書いた人(記事執筆者)
泉麻里子(いずみまりこ)
株式会社クレアール(https://www.crear-ac.co.jp/)
ITソリューションベンダーでのカスタマーサポート業務やラーニングコンテンツの講師・開発を経て、2022年6月に資格学習の通信教育を提供する株式会社クレアールに入社。現在は学習システムの改善や社内業務のデジタル化を推進するとともに、認知心理学に基づく学習法を活用したWeb学習ツール「CROSS STUDY」の開発リーダーとして、受験生の学習効率向上を目指したシステム構築に取り組んでいます。


「すぐに忘れる…」を解消!社会人におすすめの効率的な学び方とは
この記事では、認知心理学や関連知識に基づく学習法や学習理論をわかりやすくお伝えし、あなたの学びがもっと楽しく、効果的になる方法をご紹介します。
本記事でわかること
・検索練習を継続することで、記憶する力/思い出す力を鍛えられる
・検索練習は時間や場所を選ばず隙間時間でも実施できる
・学んだ翌日、1週間後、1か月後のタイミングで復習すると記憶に定着しやすい