資格のプロ 鈴木さんに聞いてみた「資格取得に向けた勉強法」

 

企業のDX戦略においてリスキリングの重要性が高まっている昨今。リスキリングの成果として資格や検定の取得を目指す人もいると思います。弊社独自で資格取得に関するアンケート調査を実施したところ、実に8割近い人が資格に興味があるとの結果に。そこで、これまで990個以上の資格を取得してきたAll About資格ガイドの鈴木さんに、資格取得に向けた勉強法について聞いてみました。


この記事では、資格取得に向けた勉強法を知ることができます。

前回記事:(第1弾 資格のプロに聞いてみた「資格取得は新たな自分の発見」)はこちら

https://m.otsumami.with-us.co.jp/m-otsumami/library/qualification01


目次


1.過去問を見るときのポイント

2.自分に合う学習ツール

3.集中して勉強できる自分に合う環境を見つける



1.過去問を見るときのポイント

過去問で出題の傾向を掴む

▲過去問で出題の傾向を掴む


ーー「前回の記事で、資格勉強をするにあたってテキストや参考書をやってから問題を解くのはおすすめしない、まずは過去問を見ると教えていただきましたが、過去問を見るときのポイントはありますでしょうか?」

前回記事(まずは過去問を見る):https://m.otsumami.with-us.co.jp/m-otsumami/library/qualification01


(鈴木さん)

最初はあまり時間をかけずにざっと目を通す程度で、過去問を「解く」というより「概観する」という感じで見ていきます。「どんな形式の問題か」「問題の数や文章量はどのくらいか」「出題範囲はどんな科目や分野から成っているか」といったことを確認していきます。あわせて、「すでにある程度知っている分野」か「まったく未知の領域でイチから勉強が必要な分野」かなど、自分の既存の知識と照らし合わせながら、特に勉強を注力すべきところを見極めていきます。そして、できれば5~10回分くらいの過去問をチェックして、「同じような問題が繰り返し出ている」「特に出題されやすい領域がある」といった出題傾向がみられないかを分析していきます。この「過去問1周目」では過去問1回分あたり5~10分程度でさらっと流します。「2周目」は問題をもっと具体的に見ていきますが、ここでも「解く」というよりは「問題と解答・解説を1問ずつ確認していく」という感じであまり時間をかけずに進めます。解き方がわからない問題は解説を読み込んで理解していきます。理解に時間がかかりそうであれば思い切っていったん飛ばし、どんどん次に進むことを優先するほうがいいでしょう。最初からすべてを完璧に理解・吸収しようとすると逆に非効率になってしまうので、まずは全体をざっくりおさえることを目指し、「途中で引っかかって必要以上に時間をかけてしまう」ことが極力ないようにスピード感を持って取り組むことが重要です。


2.自分に合う学習ツール

学習ツール▲アプリやオーディオブックなども学習ツールとして活用できる


ーー「最近は紙の本だけでなくデジタル教材などさまざまな学習ツールが出てきていますが、どれを使うのが良いでしょうか?」

(鈴木さん)

私は基本的にはデジタル教材よりは紙の本を使って勉強することが多いですが、紙とデジタルは一概にどちらが良いとは断言できないですね。勉強する「人」「場面」「学習対象」によって最適解が全然違ってくると思います。例えば電車などでの移動中は紙の本を広げるよりも、スマホに入れたPDF教材やアプリのほうが勉強しやすいというケースは多いでしょう。車で移動しているときであれば、オーディオブックを試してみるのも良いです。また、認知特性のタイプは人によって異なり、視覚優位※1、聴覚優位※2など、理解や情報処理の仕方は人それぞれに得意不得意があるので、自分に合う学習ツールが見つかると効率が上がります。

※1 視覚優位:目で取り入れた情報処理が得意

※2 聴覚優位:耳で取り入れた情報処理が得意


3.集中して勉強できる自分に合う環境を見つける

どんな場所なら集中して勉強できるのか▲どんな場所なら集中して勉強できるのか


ーー「なかなか資格勉強に集中できないという人は何をやってみると良いでしょうか?」

(鈴木さん)

「勉強に集中できない」ときには、勉強する場所・環境を変えてみることは大いに試す価値ありです。家にいるとどうしてもテレビやスマホを見てしまうのであれば、図書館やカフェに行って勉強してみたり、カラオケボックスや有料自習室をあえて使ってみたり、友人や同僚を勉強に誘ってみるなど、自分がどういった環境・状況であれば集中して勉強できるのかのヒントを探してみましょう。それがわかったら、そういう環境・状況を意図的につくり出す工夫をすることで、自分の行動を勉強へとうまく誘導することができるでしょう。そして、「勉強する時間がない」という人は、勉強する時間を増やそうと考えるよりも、仕事や家事など勉強以外に使っている時間をいかに減らすかを考えるほうが良いです。仕事のフローを抜本的に見直して効率化できれば生産性向上にもつながり一石二鳥ですし、家事に関しても「便利グッズ・時短グッズを活用する」「頻度を減らしても問題ない家事がないか見直す」ことで家事に費やす時間や労力を減らせます。これで空いた時間を勉強時間に充てることができるわけです。また、自分の1日の行動をタイムテーブルに書いてみて可視化してみると、改善できるポイントが明確化してきます。


ーー「鈴木さん、ありがとうございました」


<今回の気づき>

自分がどういう環境であれば集中して勉強ができるのか、どの学習ツールが合うのかを知ることでより効果的な勉強ができる。過去問はまずは出題の傾向を把握して、戦略的・効率的な勉強の指針を立てるためのツールとして活用できる。


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インタビューに答えてくれた人

鈴木 秀明(すずき ひであき)

総合情報サイト「All About」資格ガイド。

東京大学理学部卒。東京大学公共政策大学院修了。

米国公認会計士、気象予報士、中小企業診断士、行政書士、証券アナリストなど990個以上の資格を取得。

年間80個以上のペースで資格試験を受け続け、資格の専門家として多方面で活動中。

雑誌・テレビ・ラジオなどのメディア出演実績は500件以上。

著書に『効率よく短期集中で覚えられる 7日間勉強法』(ダイヤモンド社)、『小学生にもとれる!資格・検定カタログ 』(小学館)などがある。

近年は資格ソング「Quadrangle - LICENSE & PEACE -」のリリース、資格マンガ「資格マニアな兄」の発信など、活動の幅をアート・エンタメ領域へも広げている。

公式サイト「シカクロード」:https://shikakuroad.jp/

公式X(旧Twitter):https://x.com/suzuki_hideaki


2024/12/19 15:00 -

資格のプロ 鈴木さんに聞いてみた「資格取得に向けた勉強法」


企業のDX戦略においてリスキリングの重要性が高まっている昨今。リスキリングの成果として資格や検定の取得を目指す人もいると思います。弊社独自で資格取得に関するアンケート調査を実施したところ、実に8割近い人が資格に興味があるとの結果に。そこで、これまで990個以上の資格を取得してきたAll About資格ガイドの鈴木さんに、資格取得に向けた勉強法について聞いてみました。