コミュニケーション怪獣はどうやって生まれたのか?Vol.3

 

みなさんは、会社や私生活でコミュニケーションについて悩んだ経験はありますか。

「学びのオツマミ」で独自にアンケートを取ったところ、「コミュニケーションについて悩んだ経験がある」と回答した社会人がほとんどでした。

コミュニケーションに悩みにくい環境を作るために、どのようにしたらよいのか。

悩みながらも、独自の工夫によってコミュニケーション巧者となった方にインタビューいたします。



コミュニケーション怪獣とは

多様な立場や様々な場面で培ってきたコミュニケーション能力を発揮している人物のこと

※「学びのオツマミ」によるオリジナルの定義です




 前回のお話 

 ■初対面の相手には意識的に「呼吸」「仕草」を合わせる

 ■組織に所属するということは、良好な人間関係を長く築いていくということ


前回のお話では、怪獣1号が「感じがいい人・感じ悪い人の違いは一体なんだろう」とコミュニケーションを意識するようになったきっかけについてお話いただきました。正論だけで仕事をすると、長期的には続かない。ついつい「それ自分もやっているかも」と思うようなヒントをいただきました。


 Vol.1 記事はこちらから >>

 Vol.2 記事はこちらから >>


今回で怪獣1号さんは最終回です!



 今回のPoint 

 ■笑顔で「おはようございます」「お疲れ様です」を伝えるだけで好感度は上がる

 ■意欲のある部下・ない部下の見極め方と対応方法




上司部下の関係で意識していることもおうかがいしたいのですが。


言葉づかいなど、コミュニケーションの細かいところを相手によって変えることはありますが、基本的なスタンスは誰に対しても同じです。

上司、部下というくくりでコミュニケーションの質を変えるということはしていません。

この点に関しては、海外での生活が影響しているかもしれません。向こうはほとんど敬語がないですからね。

日本の生産性が低いと言われる理由について、僕は「敬語のせいなんじゃないか」という仮説を持っています(笑)



たしかに、人によってはメールの冒頭部分を考えるだけでも時間がかかってしまう人もいます。ご自身の経験や考え方から、新社会人や転職を考えている人に向けてアドバイスはありますか?


先程お伝えしたことと重なるのですが「相手は自分の言葉を8割も聞いていない」と考えれば、誰かに「あの人いい感じだよね」と思ってもらうのに話の内容はあまり関係ないといえます。だって、相手は自分の話をたいして聞いていないのですから(笑)



笑顔で「おはようございます」「お疲れ様です」を伝えるだけで好感度は上がる


怪獣1号さんは元々大手企業で営業やマーケティング、最終的には社長室で勤務していた経験もあるとのことですが、そういった経験から身に付いたのでしょうか。


これは、以前勤めていた会社で実際に調査をしたのですが、新卒社員のほぼすべての人が「OJTや先輩、人間関係が不安」と回答していたんです。

その結果を見て「これはおもしろい結果だな」と思い、新卒社員を半分に分け、3か月間それぞれ配属された部署である検証をしました。


半分は「おはようございます」と「お疲れ様です」をすれ違う人全員に笑顔で言うように、もう半分は、自分のタイミングで自由に挨拶をしてよいと伝えました。


その結果、圧倒的に前者の“笑顔で挨拶をする新卒のほうが好感度が高かった”のです。


当たり前のことのように思えますが、実際に毎日みんなに笑顔で挨拶をするというのは大変なことです。

しかし、「あの人いい感じだな」と思われるためには、笑顔で「おはようございます」「お疲れ様です」と言うことが大切です。これだけで、他にもうやることはありません(笑)



新社会人や転職者には、「おはようございます」「お疲れ様です」と笑顔で挨拶することの重要性を強調。

この当たり前のように思えても難しいシンプルな行動だけで、職場での好感度が上がり、スムーズな人間関係を築くことができます。

また、上司からの期待や指示をしっかりと理解し、それに応える姿勢も大切。

これが、怪獣1号の長期的な信頼関係を築く基盤なのかもしれません。



反対に、これまでに「やってしまった!」という失敗談はありますか?


嫌味に聞こえてしまったら申し訳ないのですが、ありがたいことにこれまで仕事ですごくしかられたり、失敗したりという経験はありません。ただ忘れているだけなのかもしれませんが(笑)

でも、すぐに思い浮かばないというのは本音ですし、また、日ごろからそうならないように意識をしているという自負もあります。


仕事での失敗にはいくつかのパターンがあると思っています。

「言われたことをやっていない」「指示とは全然違う内容のものをあげてしまう」とか。

遅刻とかはもうそれ以前の問題ですが、これに関しても、相手の意図を汲み取ることで防ぐことができると考えています。

わからないときには、素直に「何を目的にやるのか」「どうしてそういう指示が来たのか」を上司に聞いて確認することが大切です。上司はそう聞かれたら、部下に「君に期待することはこんなことだよ」ときちんと伝える。それだけでうまくいくことが増えるはずです。

もし上司の対応がそうでないなら、異動届を出したほうがよいかもしれないですね(笑)



(笑)しかし、新卒や転職直後だと、なかなか聞けない人も多いのではないでしょうか。


いましたね。そういうときに、まず僕は部下に「聞いても評価は下がらない」という前提を伝えたうえで、「なぜ聞かないのか」という話をしていました。それで聞くようになる若手は伸びるのも早かったですね。



意欲のある部下・ない部下の見極め方と対応方法


一番厄介なのは、本人は「上司の意図や目的を理解した」と思っていても、実際には全然違う資料を出してくる社員です。

そういう社員には共通点があるのですが、たとえば「自分独自の方法でやって上司を驚かせたい!」という意欲があるということです。逆に意欲がまったくなく、人の話を聞いていないということもあります。


意欲がある社員に関しては、僕のほうから何度も、何度も目的や指示を伝えます。時間はかかりますが、そういう社員は後から伸びてくるケースも多くありました。



意欲がない社員とはプライベートや仕事終わりに飲みにいって話を聞くなどのコミュニケーションはとっていましたか?


それはあまりやりませんでしたね。その社員が仕事に意欲が持てないのに、仕事外で飲みにいって「じゃあ、これから一緒に頑張ろうね」というのは一種のドーピングだと思うのです。それでは本質的な解決にはなりません。


では何をしたのかというと、当時の組織で取り入れたのは1on1で対話をするという手法です。当時は敬語を禁止にして、タメ語で1on1の対話をするようにしていました。

そうすることで、悩みやエラーの原因が顕在化してきます。

たとえば、仕事のやる気がないのは仕事以外に原因があるケースもあります。家庭の悩みだったり、個人的な状況の悩みだったり。当然、僕だけですべて解決したり相談にのったりはできないこともあるので、ときには知人を紹介することもありました。


それを続けるなかで、仕事外の悩みがなくなったら、パフォーマンスがとたんによくなるという社員もいましたね。



上司部下という関係をこえて本質的な対話を重ねる。第1段から怪獣1号さんが一番大切と仰っていた「相手を知る」ということにつながっていますね。


人生は仕事だけがすべてではないですよね。

プライベートもうまく回っている状態でないと、その人自身が自立できないのではないかな、と。もちろんそれだけで全てが上手く進むというわけではないのですが、仕事以外の悩みが解決すると、不思議と仕事もうまくいくケースが多いという経験があります。


ただ、一方で「あなたと僕は上司と部下という役割なんだよ」という意識を伝えることも大切にしていました。

私は指示・命令をしないといけない立場、君はそれを聞かないと行けない立場。

だけど、人間的に優劣はない、ということを前提とすることで、仕事上での心理的安全性をもってもらえるようにすることも意識をしています。



上司と部下の関係においては、指示・命令の立場と人間としての平等性を強調することで、健全な職場環境を作り出しているのですね。


怪獣1号さん、ここまで貴重なお話をありがとうございました!

引き続き、我々はコミュニケーション怪獣を探す旅に出てまいります!


 Vol.1 記事はこちらから >>

 Vol.2 記事はこちらから >>




<Profile>

仮名:コミュニケーション怪獣1号

1980年生まれ。某大手レコード会社、サービス業にて新規事業を担当し、数多くの新規事業を創出。20名の組織の責任者も経験。2024年1月に株式会社SRJに入社。入社後わずか2日でメンバーと打ち解け、2か月経過後は従来より所属するメンバーと遜色ないほど、むしろメンバーの誰よりも組織に馴染んでいるコミュニケーションの怪獣。座右の銘は「彼を知り己を知れば百戦危うからず」というだけあって、相手も自分自身もよく観察している達人。

好きなおつまみ:さきいか

学びとは何か :終わりのない探求


2024/09/02 11:22

コミュニケーション怪獣はどうやってうまれたのか Vol.3


コミュニケーションに悩みにくい環境を作るために、どのようにしたらよいのか。

悩みながらも、独自の工夫によってコミュニケーション巧者となった方にインタビューいたします。