大人の学びに役立つ、効率的なアウトプットのポイント
こんにちは、クレアールの泉と申します。この記事では、資格学習システムの開発プロジェクトを担当している筆者が、認知心理学に基づく学習法や学習理論をわかりやすく紹介し、学習をより楽しく、効果的にする方法をお伝えします。
過去の記事はこちら
・[第1回] 「すぐに忘れる…」を解消!社会人におすすめの効率的な学び方とは
今回は、「効果的なアウトプットの方法」についてご紹介します。
1.効果的なアウトプットの方法
▲図や表を取り入れることでアウトプットの効果を高める
学習におけるアウトプットとは、習得した知識を外部に出す(表現する、応用する)ことを指します。多くの方は「問題集を解くこと」を思い浮かべるかもしれませんが、これはアウトプットの一例にすぎません。認知心理学では、より効果的なアウトプット方法が研究されています。
その一つが、学んだ内容を、文章だけではなく図や表にまとめるという方法で「デュアル・コーディング理論(二重符号化)」と呼ばれます。
「デュアル・コーディング理論(二重符号化)」とは、「文字(言語)」と「視覚情報(図・絵)」を組み合わせることによって、脳が情報を二重に処理し、記憶に定着しやすくなる」という理論です。
前回の記事で紹介した「付箋を活用したインプット方法」でも、図や表を取り入れることでアウトプットの効果を同時に高めることができることをお話ししました。例えば、付箋に単語や概念を書くだけでなく、関連するイメージや関係性を図で表現すると、より深く記憶に残りやすくなります。
2.クイズでアウトプット
▲クイズ形式で問いかけるのも効果的
学習した内容をクイズ形式で自分に問いかけることも、効果的なアウトプットの方法です。
クイズを解くことで、脳が「知っている情報を引き出そう」と働き、そのプロセス自体が記憶の強化につながります。これは「生成効果」と呼ばれ、自分で作った問題を解いてみることが学習の定着を促進するとされています。
例えば、クイズを題材としたYouTubeチャンネル でも、大量の情報をインプットする際に自分でクイズを作って覚えています。クイズを作る過程で「どのポイントを問うべきか?」を考えることで、知識の整理と深い理解につながることが伺えます。
3.対話でアウトプット
▲誰かに説明すると自分の理解度が深まる
学んだことを誰かに説明することも、非常に効果的なアウトプット方法です。
説明することで、自分の理解度を整理できるだけでなく、「ここは曖昧だったかもしれない」と理解が不十分な箇所に気づくことができます。これも「生成効果」によるもので、自分で情報を再構築することで記憶の定着が促されます。
また、説明している最中に「この部分は本当に理解できているのかな?」と自問自答することは、「メタ認知」に当たります。メタ認知を活用することで、自分の学習状況を客観的に把握し、弱点を補強することができます。
もし、説明を聞いてくれる相手が身近にいない場合は、生成AIなどを活用し、会話形式で知識を整理する方法もおすすめです。適切なリアクションを返してくれるため、学習内容を整理しながら理解を深めることができますよ。
4.クイズ形式vs.対話形式
ここまでに紹介したクイズ形式と対話形式は、どちらがより効果的な学習法と言えるでしょうか?
それぞれのメリット・デメリットを表にまとめてみました。
結論としては、
・基礎を固めたい時期には「クイズ形式」
・応用力をつけたい時期には「対話形式」
が効果的です。つまり、自分の学習状況に応じてそれぞれの方法を使い分けることが、最も効果的なアウトプット法となります。
ぜひお試しいただき、自分に合った方法を見つけてくださいね。
5.最後に
▲振り返りクイズをしてみよう
これまで3回にわたり、認知心理学を活用した効果的な学習法をご紹介してきましたが、今回が最終回となります。
お読みいただき、本当にありがとうございました。皆さまの「大人の学び」に、少しでもお役に立てれば幸いです。
最後に、これまでの内容を振り返るクイズ(全6問)を用意しました。ぜひ挑戦してみてください!
★振り返りクイズ
問1 記憶を強化するために、効果的なインプット学習法は次のうちどれ?
1. できるだけ一度に多くの情報を詰め込む
2. 何度も情報を思い出す
3. ひたすら教科書を読み返す
4. 単語や知識を暗記する際に、教材の順番通りに覚えることを優先する
問2 朝の通勤時間に、前日に学んだことを思い出そうとしたけど、なかなか出てこない…!このとき、どうする?
1. すぐにテキストやメモを見て答えを確認する
2. できるだけ記憶を頼りに思い出してから答えを確認する
3. そもそも思い出すのが面倒なので、復習はしない
4. 忘れたことにショックを受けて勉強をやめる
問3 忘却曲線を考慮すると、どのタイミングで復習すると効果的?
1. 毎日ひたすら同じことを復習し続ける
2. 1か月後に1回だけ復習する
3. 学んだ翌日→1週間後→1か月後に復習する
4. 「忘れた!」と思ったときに気まぐれで復習する
問4 付箋を使って暗記するとき、記憶の定着を高めるために意識すべきポイントは?
1. 付箋の色をカラフルにする
2. 覚えたいことをそのまま書いて貼る
3. 覚えたい内容を「虫食い」にする(空欄を作る)
4. 付箋を毎日貼り替えて、新しい情報をどんどん増やす
問5 学習した知識を効率よく記憶に定着させるために、有効なアウトプット方法は次のうちどれ?
1. 何度も同じ教材を黙読する
2. 重要な部分にマーカーを引くだけで終わる
3. 図や表を活用して整理する
4. 新しい教材を次々と読む
問6 誰かに学んだことを説明することで得られる、学習上の主なメリットは?
1. 暗記の必要がなくなる
2. 理解を深め、他の知識との関連付けができる
3. モチベーションが上がる
4. 脳の疲労を減らせる
正解と解説は、この後に掲載しています。
また、クレアールのオウンドメディアでは、資格学習に関する記事を多数掲載しております。こちらもチェックしてください。
この記事を書いた人(記事執筆者)
泉麻里子(いずみまりこ)
株式会社クレアール(https://www.crear-ac.co.jp/)
ITソリューションベンダーでのカスタマーサポート業務やラーニングコンテンツの講師・開発を経て、2022年6月に資格学習の通信教育を提供する株式会社クレアールに入社。現在は学習システムの改善や社内業務のデジタル化を推進するとともに、認知心理学に基づく学習法を活用したWeb学習ツール「CROSS STUDY」の開発リーダーとして、受験生の学習効率向上を目指したシステム構築に取り組んでいます。
★クイズの正解と解説
問1 記憶を強化するために、効果的なインプット学習法は次のうちどれ?
正解:2.何度も情報を思い出す
解説:記憶を強化するには、学んだ情報を「思い出す」ことが重要です。認知心理学の研究でも、「記憶から情報を引き出す練習を繰り返すことで、記憶への定着が強化される」とされています。
単にテキストを繰り返し読むだけでなく、「何だったかな?」と考える時間を作ることがポイントです。
問2 朝の通勤時間に、前日に学んだことを思い出そうとしたけど、なかなか出てこない…!このとき、どうする?
正解:2.できるだけ記憶を頼りに思い出してから答えを確認する
解説:思い出そうとすること自体が、記憶への定着を強化するカギです。すぐに答えを見てしまうと、「思い出す」練習になりません。
思い出せないと焦るかもしれませんが、「なんだったっけ?」と記憶を探ることで、脳内の記憶のネットワークが強化されます。思い出そうとする努力が、長期記憶への定着につながります。
問3 忘却曲線を考慮すると、どのタイミングで復習するのが効果的?
正解:3.学んだ翌日→1週間後→1か月後に復習する
解説:学んだ直後の記憶は不安定で、短期間で忘れやすくなります。しかし、適切なタイミングで復習を繰り返すことで忘れるスピードが遅くなり、記憶が長期的に定着しやすくなります。
特に、学んだ直後ではなく、少し間隔を空けてから復習することが効果的です。
問4 付箋を使って暗記するとき、記憶の定着を高めるために意識すべきポイントは?
正解:3.覚えたい内容を「虫食い」にする(空欄を作る)
解説:記憶を強く定着させるには、「思い出す時間を作る」ことが大切です。
付箋に覚えたいことをそのまま書くのではなく、空欄を作ることで、「なんだったかな?」と考える機会が増え、より長く記憶に残りやすくなります。
問5 学習した知識を効率よく記憶に定着させるために、有効なアウトプット方法は次のうちどれ?
正解:3.図や表を活用して整理する
解説:記憶は、すでに知っている情報と関連付けることで定着しやすくなります。
「デュアル・コーディング理論(二重符号化)」によると、「文字」と「視覚情報」を組み合わせることで記憶が強化されるため、図や表を活用するのが効果的です。
問6 誰かに学んだことを説明することで得られる、学習上の主なメリットは?
正解:2.理解を深め、他の知識との関連付けができる
解説:人に説明することで、自分の知識を整理し、理解を深めることができます。
また、関連する知識と結びつけることで、記憶の定着がさらに強化されます。これは「生成効果」と呼ばれ、学習効率を高める有効な方法です。
なお、「3.モチベーションが上がる」は直接の正解ではありませんが、説明することで「自分は理解できている」という実感が得られ、自信につながることもあります。その結果、学習のモチベーションが高まることもあるかもしれませんね。
